スティーブン・キングのストーリー作りのコツ

『書くことについて』は、ホラー小説の帝王スティーヴン・キングが、小説を書くことについて語ったものです。前半はキングの半生、後半では小説を書くうえでのテクニックという構成になっています。本書の出版は2013年ですが、そこで語られた内容は、現在でも色あせてはいません。小説家だけでなく、ストーリーを作ることに関わっている人ならば、大いに参考になります。

今回は、この『書くことについて』の中から、ストーリー作りに関する部分をいくつかピックアップしてみたいと思います。

文章の作り方

文章の作り方について、キングは、「任意の名詞に動詞を組み合わせたら、それだけで文章になる」と述べています。「岩が破裂する」「ジェーンが送信する」「山が浮かぶ」など、どれも完璧な文章です。そのため、文章の構成で迷ったときは、名詞と動詞を組わせるという単純な構成に立ち返るといいでしょう。

小説が成り立つ要素

キングは、「小説は3つの要素から成り立っている」と考えています。

  1. ストーリーをA地点からB地点へ運び、最終的にはZ地点まで持っていく叙述。
  2. 読者にリアリティを感じさせる描写。
  3. 登場人物に生命を吹き込む会話。

ここで注目したいのは、要素の中にプロットがないことです。キングは、プロットには懐疑的でした。もちろん少しは考えていますが、プロットに重きを置いてはいません。その理由は以下のとおりです。

プロットに重きを置かない理由はふたつある。第一に、そもそも人生に筋書きなどないから。どんなに合理的な予防措置を講じても、どんなに周到な計画を立てても、そうは問屋がおろしてくれない。第二に、プロットを練るのと、ストーリーが自然に生まれでるのは、相矛盾することだから。この点はよくよく年を押しておかなければならない。ストーリーは自然にできていくというのが私の基本的な考えだ。作家がしなければならないのは、ストーリーに成長の場を与え、それを文字にすることなのである。この点を理解していただけるなら──少なくとも理解しようとしていただけるなら、われわれはきっとうまくやっていける。そうではなく、おまえは狂っていると言うのなら、それはそれで仕方がない。そんなふうに言われるのははじめてのことではない。

キャラクターを描くコツ

小説を書いた経験がある人なら、幾度となくキャラクターの描写に試行錯誤したことでしょう。どこまで書けばいいのか、どういうふうに書けばいいのか、難しいことだらけです。この難しさは、キャラクター描写に絶対的な正解が存在しないことから来ています。

しかし、絶対的な正解はなくとも、コツはあります。キングの考えでは、キャラクターの身体的特徴や服装を事細かに説明するのは、しなくていいそうです。あまり細々と特徴を描写すると、読者が想像する余地がなくなってしまうから、というのがその理由です。

では、キャラクターを描写するうえで大切なのはなんでしょう? それは「背景や雰囲気」です。キャラクターが置かれている立場や醸し出す雰囲気こそが重要なのです。

キャリー・ホワイトはクラスの除け者で、顔色が悪く、身なりもぱっとしない、とそれだけ言えば、あとは読者が全部考えてくれる。ニキビがどうのこうのとか、スカートがどうのこうのとかをいちいち書きこむ必要はない。誰だって高校にひとりやふたりはいた落ちこぼれのことを覚えているはずだ。

ストーリーテリングの基本

本書の後半部分で、ストーリーテリングの基本について、キングは以下のようにまとめています。

ストーリーテリングの基本については、これであらかたカバーできたと思う。煎じつめれば次のようになる。日ごろの鍛錬が大事であるということと(鍛錬とはいっても、それは楽しいものでなければならない)、正直さが不可欠であるということだ。描写や、会話や、人物造形のスキルとは、つまるところ、目を見開き、耳を澄まし、しかるのちに見たもの聞いたものを正確に(手垢のついた余計な副詞は使わずに)書き移すことにすぎない。

ストーリーテリングに関しては、当ブログでも別記事にて取り上げました。合わせてこちらもご覧ください。

ストーリーテリングの意味と学ぶ方法について

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