「恐れない、ひるまない、やることをやるだけ」──エリザベス・ギルバート TEDトークより

作家のエリザベス・ギルバートが2009年に行ったTEDトークがあります。このトークは「創造性をはぐくむには」と題され、ギルバートの個人的な体験から、創作において大事なことが語られました。その内容を見てみましょう。

当時、ギルバートは『食べて、祈って、恋をして』という作品を書き上げました。この本はたちまち世界中で翻訳されベストセラーになります。しかしその結果、彼女は「運が尽きた人」扱いされるようになりました。「あれを超えられなかったらと不安では?」と周囲から心配顔をされるのです。

また10代の頃、彼女が作家になりたいというと、やはり周囲は心配顔で「不安にならないの?」と言ってきました。

もちろん彼女にも不安はありましたが、それはそれとして、これらの経験から、クリエイティブの世界がほかと違うのは「精神を気遣われることだ」と彼女は悟ります。たとえば、彼女の父は化学者でしたが、「化学技術スランプは大丈夫?」などと聞かれたりはしません。

一般に、創造に苦悩はつきものだと捉えられています。事実、20世紀だけで偉大な創作者たちがどれだけ早世し自殺しているか……。また実際の自殺でなくとも、自分の才能に殺された作家も存在します。

しかし、ギルバートはこうした風潮に異議を唱えます。「危険な発想でしょう? むしろ生き続けるよう、励ますべきでは?」。そして彼女は、創作者には心理的なディフェンスが必要だと語ります。

では、心理的なディフェンスはどのように得ればいいのでしょう? そのヒントは、古代ギリシャとローマにありました。古代ギリシャとローマでは、創造性が人間に備わっているとは考えられていませんでした。創造性は人に付き添う精霊であり、外部からやってくるもの。古代ギリシャでは、この精霊のことを「ダイモン」と呼び、ローマでは「ジーニアス」と呼んでいました。今日では「ジーニアス」は天才という意味を指しますが、かつてはそうではなかったのです。

もちろん、精霊という考えは科学が発達した現代では受け入れがたいもの。しかし、彼女は「それでいいじゃない」と言います。

創造性を精霊の仕業と考えることで、作者は自惚れから自分の身を守ることができる。どんな立派な作品も自分だけの功績ではない。そう捉えることで、心理的なディフェンスが生まれます。そして、一種の開き直りができるようになります。つまり、「ただ目の前のことをやるだけだ」という前向きな開き直りが。

彼女は言います。「恐れない、ひるまない、やることをやるだけ」。そういう姿勢こそが、結果的に創造性を育むことにもなるのです。

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